アウトロー

逮捕されて30日が過ぎた。

思ったより早く取り調べも済んだ、同室だった者も一人一人卒業していく。

第一回公判が来るのを首を長くして待っている。

罪状認否が済まないと保釈請求が出来ない。

弁護士を呼び今の留置場、拘置所の状態を聞いた、

（弁）拘置所もパンパンで留置場で移送待ちが沢山でている。

留置場から公判へ向かう被告も沢山居る。

（俺）留置場で判決を貰う被告も居る訳！？

（弁）居るぞ。

（俺）其れって滅茶苦茶お得や！拘置所は空調設備がないから暑くて溜らん。

それに警察庁から法務局に変わる！法務局の刑務官、威張り散らす。

扱いも荒い、俺達判決を貰うまで推定無罪なのに、

俺も出来る事なら留置場で全てを終わらせたい。

（弁）恐らく罪状認否は留置場から行くことになると思う。

（俺）日時は！？

（弁）分からないが後２～３週間は掛るのでは！？

（俺）具合悪いな～！八月に入ったら保釈請求をしてもに判事に届かん。

弁護士に息子に言ってお金の差し入れを頼んでくれ！

選任した弁護士、若いときにお互い弁護士を目指し勉強した仲！

方や弁護士！方や庭師！同じ「し”」でも大違い。

弁護士が早い方が良いだろう！俺がお金の差し入れをしておく。。

後で返せよ。借用書を※宅下げするわ。

宅下げとは「差し入れ」の逆の行為で入所者から荷物等をを受け取ることを指します。

何もしない一日は長い！官本も読み飽きた。

しかし！日は粛々と過ぎて行く！

二週間程過ぎた時、警察官が声を掛けた二日後、公判だから９時に出かける。

来た！来た！待ちに待った公判バンザーイ。

昼から弁護士も来た罪状認否！返答分かっているな「分かっている」

公判当日、検事は女性！判事は男性！

検事が金切声で罪状を吠えている、判事が間違いないですか！？

「間違いありません」判事が閉廷します、時間にして５分。

翌日！弁護士に保釈請求をしてくれ保釈金も用意する。

八月まで時間がないから早くしてくれ保釈金は息子から貰ってくれ。

分かった急いで請求を出す。

其れから警察から証拠品を取りに来てくれと連絡が有ったから

お前の息子に取りに行かしたぞ「了解」

7月の終わりに弁護士が接見に来た。

（弁）保釈請求！却下された。

（俺）理由は証拠隠滅、逃亡の恐れ有りか！？

証拠品も返して貰い、懲役刑など有る筈ないと判事が一番分かっているのに、

判事の野郎どうかしてるぜ。

（弁）もう一度請求するか！？

（俺）う～ん！止めとく留置場で座っているエアコンも効いて快適や。

その内、拘置所に移送も有るだろうし。

次の公判は証拠調べやろ！

（弁）そうだが８月中は公判はないぞ。

証拠調べでは闘わないし異議の申し立てもしないから

同時に被告人質問もあるかもしれないし！

判事の求刑もあるかもしれない、それなら二回目の公判で結審に成る可能性もある。

（俺）其れなら願ったり叶ったりや、俺戻るわ。

留置場に戻ると官が今日一人落ちて来るから頼むぞ。

夕方、取り調べが終わるとお客さんが入ってきた！

ヤクザだ！ヤクザが来ると色々な話が聞けるから面白く楽しい。

やーさんが兄さん移送待ちですか！？そうなんだ。

拘置所は厳しいですよ刑務官、威張り捲っていますから。

其れに比べたら此処は天国です。

拘置所へ移送に成ったら公判の進み方早いですよ。

一週間に二度の公判も有ります。

俺は罪状認否が済んだから保釈請求を出したんだが却下された。

判事！保釈を認めて外に出し逃亡されたら、

一生冷や飯を食わなければ成らないから中々okを出さないんです。

流石！蛇の道は蛇！よく知っているわ。

留置場に座って２ヶ月、１２０日の月日が流れた。

９月の終わりに移送が決まった！

やーさんに世話に成ったな明日、拘置所に移送や！

やーさんが１０月の中頃に判決が出ます。

晴れて釈放です。嬉しいことを言ってくれるぜ。

１０月１日に拘置所入り二日後に二回目公判！

結審に成るかと思ったのだが次回１０月７日に被告人質問と検察側の求刑！

其れで結審。

（俺）弁護士に俺！出られるな！

（弁）１００％とは言えないが９９％出られる！しかし公判の時に威張るなよ。

１０月７日、三回目公判、判事が喋りたくないことは喋らなくて良いです。

検事が俺に質問をぶつけてくる！分からない事は分かりません。

覚えていないことは覚えていません。

覚えていて間違いないのなら其れは間違いありませんと返答。

最後に判事が求刑二年六ヶ月。えらい高い求刑。

求刑が３年以上だと判事に実刑にせよとのサインです。

被告人質問と言っても儀式の一つです、難しく考えることは有りません。

判事がこれを持って閉廷にします、事実上の結審です。

次回、判決の言い渡しは１０月１８日を予定しています。

弁護士が手帳を見て良しなに。

運命の日！１０月１８日、判事が主文を読んでいる！

被告を懲役二年六ヶ月に処する！但し刑の執行を４年間猶予する！

罰金はなかったが・・・追徴金は結構な金額が来た。

これで晴れて自由の身！執行猶予が付くと裁判所から帰ることも出来ますが。

荷物が有りますから一旦拘置所に帰るのが普通です。

荷物を纏めてコンビニで棲家へ配送！

地下鉄で京都駅まで行き！タクシーで帰ることに。

長い間、檻に閉じ込められていましたから足腰が弱り。

拘置所から地下鉄の駅まで約300ｍの距離！二回こけました。

間違いを犯してばかりの人生は、何もしなかった人生よりも、

あっぱれであるだけでなく、役に立つbyジョージ・バーナード・ショー。

自分の事を言っている訳では有りません。

約1４０日間、皆様の税金で食べさせて頂きました感謝していますペコリ。

長い物語に付き合って下さり有難う御座いました。

追記！！留置中はビールが飲みたくて夢にまで出てきた。

出てから銭湯に行き待望のビールを飲んだ！

ん！全然美味くない俺の舌アホに成ったのか！

一缶飲み干し違うメーカのビールを飲んだのだが！

これ又、美味くない。

お務めを済ませた先人にビールが美味くない！と相談。

其れは誰にでも起きる現象で美味く感じるまで三ヶ月位かかる。

三ヶ月経っても上手く感じなかったら止めろ、経済的にも助かるやろ。

　　今は滅茶苦茶美味いです。